珊瑚のかんざしを磨きました。
茅ヶ崎市からご来店頂きました。
「かんざし磨いて下さる?」
頑張ります!!
100年前 ? のかんざし
失礼な言い方ですが、白カビが生えたような珊瑚。
乾燥した梅干し状態。塩を噴いたかのよう。
お客様は、私と同世代・ほぼ同学年。
湘南・茅ヶ崎からわざわざご来店頂きました。
海っぺりから、多摩川っぺりの当店までご足労頂きました。
この度の 命 は「ご主人のお母さまから譲り受けた珊瑚のかんざしを磨く」
その他もろもろ。
私と同世代といえば、親の年齢は80代後半かと想像できます。
しかし、我々の母の世代では “かんざし” それも 珊瑚 のかんざしを新規購入することは、無いとは申し上げませんが、少ないかと存じます。
たぶん。
と、いう事は ? ばあちゃん世代の もの となります。
で、あれば、100年前の かんざし ? と思われます。
リスキーな磨き作業
丸い珊瑚 = 球体の珊瑚。
そこそこの数、磨いて参りました。
有機物の磨き、”得意か不得意” かと聞かれたら、得意 !!
と、胸を張って大きい声で答えます。
しかし、突起物があるこのフォルムの珊瑚。
バキッ ! と折れそう。もげそうな雰囲気漂う・・・。
「君子危うきに近寄らず」できる事なら・・・。
とはいえ。
茅ヶ崎から東海道線で27分も乗れば、横浜というベリーフェイマスな地方都市があるのにもかかわらず。
徒歩を除き、小田急線で67分・距離50.7キロ以上のところにある当店まで、時間と体力を消費しご来店頂きました。
ほんと恐縮の一言です。
また、他にもオーダーを頂きました。
珊瑚の丸珠磨き。
なんともでかい !! いや大きく立派な珊瑚 ♪
お色も上品で綺麗 ♡
翡翠のネックレスを分解して
珊瑚と組み合わせて念珠を製作いたします。
天に4Ps珊瑚を配置。
天に2Ps珊瑚を配置。
もう、断る理由も断る言葉もございません。
臆することなく突き進む。
そう、決めました。
お客様と素晴らしい もの を残されたおばあ様に敬意を表して。
ビフォー
全体的に粉っぽいマットなかんざし。
白カビが生えてしまったような珊瑚。
艶 など一切ございません。
アフター
表
裏
軸 ? かんざしの本体部分も磨きました。
もっとエッジを効かせて 剣のように ぴっかぴっか ♪に磨いて差し上げたかったのですが、内部に 巣 = 小さな空洞 があった場合、表面に出てきてしまいますので、そのリスク回避のため、ほどほどにいたしました。
いい塩梅と判断いたしました。
裏側が一番緊張いたしました。
実のところ、どちらが表で裏なのかわかっておりませんが 💦
たぶん。
細く、薄い突起がこちら側に湾曲しているので、一歩いや一手間違えば大惨事 !
紙ヤスリ+耐水ペーパー+磨き粉を用いてひたすら磨きます。
じみ~~に、粛々と磨きます。
やめ時を探りながら、珊瑚とにらめっこしながら
破損という恐怖心に押しつぶされぬよう、自分を信じてひたすら磨きます。
昔、若いころ先輩に言われたことを思い出しながら磨いていました。
その言葉は
何事も「大胆かつ繊細に行う」
「集中力が切れた」と感じたら、とっとと仕事を中断して、ビールの時間といたします。
「大胆かつ繊細に ルービ~ を味わう・頂く」
まいう~~♪ とね。
これぞ職人のオンとオフ ♪
事故を防ぐための最適・最善の所作・心根 ♡
職人より
珊瑚はもちろんの事。
昔のカラーストーンなども みみっちい事 = 姑息な処理・加工などしてありません。
素 = 天然の状態のものが大半です。
コスパなどの言葉も存在していなかった時代の もの。
古き良き時代の装身具。いや、宝飾品。
この度の珊瑚ももちろん 素 の状態。
ゆっくりと流れる時間・時代に製作された珊瑚のかんざし。
まんま ですが美しい。そして 艶っぽい ♪
まさに 逸品。
その逸品をつける時の気持ちって、どんなものなのでしょうか ?
女性が珊瑚のかんざしをつける時の気持ちとは ?
私のようなおっさん、いや、男には永遠にわからないかと存じます。
しかし、そこには特別な気持ちと感情と、”なにか” があったと存じます。
ご依頼頂いたお客様、その なにか を感じた。
いや、わかっているからこそ甦らそうと行動した。
そしてご来店頂いた。
そう 勝手に 感じました。
この度もまた、素敵な仕事をさせて頂きました。
あらためて、ご依頼誠にありがとうございました。
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