遺品整理・形見分けのための念珠製作_象牙
清瀬市よりご来店頂きました。
「形見分けするので、この象牙のネックレスを念珠にしてもらえますか?」
(紳士用 房: 鉄紺)
喜んで !!
象牙は貴重です。
アフリカゾウは、密猟と象牙の違法取引によってその個体数を大きく減らした時期があります。
このため、1990年にワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の下で象牙の国際取引は原則禁止となりました。
ようするに、新規輸入はダメですよ。
って ことです。
ひと昔前は、サマーアクセサリー & 印鑑
- 女性用のサマーアクセサリーは象牙。
- 高級な印鑑と言えば象牙。
と、言われた時期がございました。
いわゆる “甲斐性のある者” の証と言ったらよいのでしょうか。
「紳士・淑女の持つ高級品」と表現したらよいのでしょうか。
ステータスのあるもの。それが象牙でございます。はい。
女性用 象牙の念珠製作工程
まずは、ばらし、珠の大きい部分を仮組いたします。
手彫りで彫刻された象牙のネックレス。
高級品です。
センターから端に向かって、小珠になっていくグラデーションネックレスのため、センターの大きい珠より両サイドを念珠にいたします。
お客様の目の前で仮組までいたします。
天珠・母玉・ボサをご用意いたします。
水晶でできております。
房を編み込み製作して完成
房:レンガ
象牙は黄ばみが発生いたします。
数十年前のものなので、たばこのヤニがついたみたいに黄ばんでおります。
ま、仕方ありませんね、動物の牙ですから。
ピーリング作業をいたします。
一皮むきます。ピーリング作業ですね。
ひたすら地味に粛々と磨いていきます。
一部機械は使いますが、結構疲れます。
ご覧くださいませ。
テカテカで少しうるおいも戻ってきました ♪
女性用もピーリング作業して、ピッカピカのテカテカにしてあげたかったのですが、見事な彫刻のため不可能です。
残念。
職人より
ひと昔前
- 庶民は柘植(つげ)の印鑑。
- 金持ちは象牙の印鑑。
などと言われ、ボンビーな私でも見栄をはって象牙の印鑑持ちました。
って言うとあれなのですが、父の形見を彫り直しをして、商売用の印にいたしました。
零細個人事業者の私でも、経営者のはしくれ、印鑑には気をつかいました。
お金も少々かけました。
女性のアクセサリーでも
- 白い貝・プラスチックのサマーアクセサリーは庶民。
- セレブは象牙。
昔はそんな言われ方もしておりました。良い悪いは別にして。
輸入してはダメな象牙ですから、安価ではございません。
昔の在庫から作る事しかできない象牙。
やはり高価です。
そのように高価で貴重な象牙。
タンスや物置に眠らしておくのは・・・。
残した者の幸せがいっぱい詰まった贅沢品である象牙。
この度、オーダー頂いたお客様は、身内のため・残した者のため。
遺品の有効活用 & 形見分けのために、清瀬市から当店がある狛江市まで、一時間では到着できない距離をお車で。
それもご夫婦でご来店下さりました。
象牙のネックレスのまま、このままでは誰も大事にしてくれない。
よって、多少の出費はかかるが念珠にして、しかるべき者に渡す。
そう、おっしゃっておりました。
僭越ながら、お客様一族のご繁栄、心よりお祈りいたします。
まっ、私ごときが願わなくとも、このような方が存在する一族ですから、家内安全・子孫繁栄は、心配ありませんね。
あらため、この度ご依頼頂けました事、誠に感謝申し上げます。
また、勉強させて頂きました。
受け取った者の所作。
この目で見せて頂きました。
私もいつの日か、お客様のような所作ができる人間になりたいと存じます。
ありがとうございました。
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