ルイビトン M62487 リング メッキかけ直し
狛江市からご来店のお客様からのオーダー!!
「銀色が剥がれたのですが、直りますか ?」
う~~~ん 頑張ります。
ルイヴィトンM62487 シグネット モノグラム リング・材質は真鍮。
シグネットリング = 自分の名前や自らを示すための印などを刻んだ指輪。
いわゆる “印台” 指輪。LV ロゴ入りリングとも表現できます。
この指輪の材質は、プラチナでもなく、シルバーでもなく、なんと真鍮。
私自身、この業界に30年以上身を置いておりますが、真鍮で指輪を製作・加工したことがございません。
プラチナ・金・シルバーのみでございます。
しかし、奥様とお子様からのプレゼントされたリングとのこと。
お客様にとってはプライスレスであり、放置できない問題。
また、加工内容も「磨いてロジウムメッキ」を行う。
という今までの技術と経験を応用できるものでしたので、お受けいたすことにいたしました。
金属ロジウムの性質
元素記号 Rh 白金属元素
原子番号 45
原子量 102.91
比重 12.5
融点 1966℃
硬度 Hv800~1000(メッキ皮膜の場合)
通常の酸やアルカリには侵されない
下地を作る
この度の加工での肝は、下地をしっかり作る = 丁寧に磨く。
それに尽きます。
下地さえしっかり作ることができれば、メッキ自体は綺麗にのりますので、やすりとペーパーでコツコツと粛々と磨きます。
ビフォーアフターご覧くださいませ。
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職人より
この度のルイビトンのリング、コンクリートに擦ったかのような、深く酷いキズと剥がれ。
お客様のお手が心配になり、思わずチラ見してしまいました。
ご事情はお聞きしませんでしたが、通常の経年劣化とは違う状態。
元の状態に戻すのは困難なため、お受けするか、お断りするかリングを拝見しながら悩んでいたところ。
「○万円まではだします」とお客様が発言されました。
私、「いえいえそこまでは頂きません」と申し上げました。
お客様にとってこのルイビトンのリング、いえ、お子様と奥様がプレゼントしてくれたリングは、かけがえのないもの。
そう伝わってきました。
技術者といたしましては、不確実な事が多い作業・加工は消極的になります。
お客様の依頼・要望にこたえられず、がっかりされるのが怖いのかもしれません。
しかし、人にはかけがえのないもの、プライスレスなものがございます。
その大切な思い出のつまったものを直す。
これも技術者・職人の仕事のうちの一つ。
なのだと思っております。